<弾が>集まると戦える、散らばると塗れる -中編(ヘイト)-
かれこれ3か月以上更新していませんでしたが、対抗戦とか大会とか楽しんでいました。
おかげで知見は深まったと思いますので、自分のためにも改めて記事にまとめていきたいです。
さて、前回(と言っても7月くらい)の記事では”個々のプレイヤー”がキルを狙う時には弾を一点に集中させ、塗り広げる際には弾を広範囲に拡散させるという内容をまとめました。
読み返してみると無駄に長かったです。そして今回も長いです。
前回は実際のプレイに基づいて、ミクロ視点で1vs1を想定した時のキル狙いプレイヤーと塗り広げ狙いプレイヤーの違いを書きました。
皆さんはどっち派ですか?
というか、どっちがより勝利に貢献できそうな印象を受けましたか?
あくまで1vs1という前提であれば、キル狙いが恐らく正解です。
キルさえできてしまえば10秒ほどは一切デスの心配なく自由な行動ができるからです。
そしてスプラトゥーンというゲームは前線の上げ下げが肝になるゲーム。
互いに前線を上げたいのに上げられないというジレンマが戦略を生みますが、相手がフィールドに不在ならば前線を上げるのにこれ以上楽なシチュエーションはありません。
じゃあ、いつでもキル狙いで塗り広げる敵を索敵し続けていれば勝てるのか、と言うとそう簡単ではありません。
なぜならばスプラトゥーンにはたくさんのブキがあって、潜伏を邪魔するサブスペがあって、更にサブスペにも多数の組み合わせがある4vs4のチーム戦だから。
例えばここに前線をあげたいわかばと、その敵である前線をあげたいジェットスイーパーがいるとします。
ジェットスイーパーは他に後衛がいなければ敵陣コンテナ上に立って、視野を広く確保しつつエリアを塗ることが可能。
一方でわかばは、中央タワーの敵陣側に立つことが難しく、かと言ってタワーを挟んだコンテナ付近にいても仕方がないので左右どちらかに展開することになります。
そんな条件設定で次の問い。(実際の試合ではほとんどありえない状況なので、思考実験程度に)
Q. あなたはわかば使いで、フィールドの遠くで塗り広げているジェットスイーパーを発見。まだこちらの潜伏がバレていないのをいいことに相手が自陣に向かってくるまで潜伏を続けますか?
A. それはできません。というか通用しません。
相手が射程内に進軍してくるまで前線を上げられてしまうことがそもそも展開的に良くないし、
スペシャルが溜まればミサイルによって位置はバレてしまい、結局射程差で近付く術もなくやられてしまいます。
ですからテンプレ解答としては、とりあえず塗り合いに応じます。
ただ、わかば側もタワー裏で塗り続けているだけならばデスのリスクはほとんどありませんが、これではいつまでも前線を上げる決め手がありません。
実際の試合では他に3人ずつプレイヤーがいて、後ろへの引きにくさの点でジェットの方が安定して塗り続けられそうです。
そこで状況をよくするために相手の行動に変化を生じさせたい。
狙いは相手の塗り広げをやめさせることで、方法は2つ。
キルするか、キルを狙わせるか、です。
キルするというのはごく一般的な立ち回りで、相手をどかす方法の最大報酬がキルです。
ボムを絡めたり、潜伏やポジションチェンジ、裏取りをして少しずつ敵が射程内に入るよう前進すればいい。
キルが成功せずとも強いポジ(この場合コンテナ)からどかして、塗りがエリアに届かなくなればOK。裏取りをして、中央に降ろさせる方法でも射程の長さを活かしにくい対面の場が作られるのでOKです。
例えば、わかばがハコフグ左のブロックからコンテナ上にボムを投げてきたらどうでしょう。
一次的にでもコンテナから自陣側に避難すれば、その一瞬エリアを塗れるのはわかばだけになります。
もう1つのキルを狙わせるという作戦は、あまり一般的ではないと思います。
これはつまり相手の塗りリソースをキルに移行させることによって塗らせないということです。
例えばわかばがステージ左通路から敵陣に裏取りをしたらどうでしょう。
ジェットからすればポジション的にわかばのメインは届きませんが、自陣が敵インクだらけにされてミサイルで引けずに事故るとか、好き勝手に動かれるのが気になりますよね。
その時点で射程内にわかばが入っているならば、ポジション的優位を保ったまま一旦塗りをやめてキルを狙うはずです。
前記事の通り、キルを狙う(エイムを敵に向ける)行為は、塗り広げとは対極にある行為であり、塗りもキルも狙えるポジションにいたジェットは途端に塗りかキルしか狙えない位置関係に立たされることになってしまいました。
(特に意図はなくわかばを例にしたけど、実際にはパブロとかスシとかに裏取りしてもらいたいよね)
これがいわゆる「ヘイトを買う」という作戦です。
エリアを挟んだポジションでは、自分の命を狙われつつエリアも塗られるという最悪の状況になるだけですので、ヘイトを買うのは原則「敵がエリアを背にする方向」です。
「何度デスしてもカウントが進めば勝ち」という特殊なルールのスプラトゥーンだからこそ、こうした動きが強い場面があります。
塗りたい相手を誘う(塗りたい場所を塗らせない)、これがヘイトの基本。
敵の塗りがあっても大きな損失にならないポジションでヘイトを誘うのがポイントですので、敵陣に抜けてヘイトを買うことになりやすいです。
タイトルの回収になりますが、本来「メインを拡散させて塗り広げたい相手」を「1か所に釘付けにする」、これが相手の陣形を崩したり、相手の役割を破壊するのに重要な作戦「ヘイト」です。
そしてこれにはステージのどの地点の塗りが重要か把握するステージ理解度、ゲーム理解度が必要となるため、経験と能力が必要な役割と言えます。
ちなみに一般的に認知されている”ヘイト”は、キルしたい相手を誘う(狙いたい味方を狙わせない)というもので、こちらは本来相手のカバー(2vs1を作る能力)が高い時に発揮されるより高度な戦術なんだろうと思っています。
スプラトゥーンは個人単位でもチーム単位でも、射線を集中させたり拡散させたりしながら戦うゲームです。
次回は後編、チーム単位でのインク集中とインク拡散がテーマ(予定)。